山本富士子の手、バーグマンの唇

CSで「黒い十人の女」をオンエアしていた。映画女優・山本富士子を初めて見たのはたしかこの作品。

ばっちり白塗り&くっきりアイラインでいつもご主人と一緒という姿をTVで見たことがあっただけだったので、堂々の女優ぶりには心底驚いた、いい意味で。
が、オドロキはこれで終わらない。着物姿も粋な彼女の水割りのグラスを持つ手が、なんと見事なぷくぷく手!!ええ~っ、天下の美女の手がこれってどうしましょうって、びっくりしたと同時に目がそらせなくなってしまった、見てはいけないと思うものほど見てしまうように。

あれから何年、考えてみると、あの手こそが彼女を好感でもって受けいれられた最大のポイントかもしれない。けなしようのない美貌と女優ぶりからして余りのギャップのぷくぷく手。でもそれは愛すべきツッコミどころだ、わたしからすれば。
愛を育てるのは“すき”の存在。ありすぎても困るんだけど。

ベクトルは違うけれども、山本富士子の手と同様、本人の内面とは関係ないところで目がそらせなくなるのがバーグマンの唇。

正確には上唇の山の角度。あの独特のなだらかさにどうにも魅了される。彼女は顔の縦横の比が縦に短い。個々のパーツもそう。三次元につんと高い鼻も、縦軸が短い。そういう顔のつくりと調和してでしょう、角度を極力抑えて描かれたリップラインは何とも言えず美しい。
前から好きだったバーグマン、「汚名」で自分がその上唇を美しいと感じていることに気づいてからますます好きになった。
そんなことだったりするのよね、何かに価値を見出すのって。もちろん自分だけの価値だけど。
細部には、神や美が宿れば愛も宿る。

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