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<<   作成日時 : 2009/03/14 15:35   >>

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東洋美術学校創立60周年記念事業として2006年度に開催された「文字講座」の採録である「文字講座」(誠文堂新光社)の個人的ポイントは、最初と最後。

講師はタイポグラフィやデサインの分野で活躍の13人で、トリは佐藤可士和。
それまでの12人の文字に対する思い入れやクリエイターとしての情熱に素直に感動し、彼の小学生から文字をつくっていた話、ユニクロ等の仕事の紹介も“流れに乗って”興味深く読んでいたのに、この1枚で一巻終わりというところでやにわにクライアントを持つ職業人としての割り切った構えが出てきて、おろおろ。
『クライアントが抱える課題を解決する(中略)医者のような仕事』(『』内は同書より引用。以下同様)をしているという彼の、『僕はただ、クライアントを鮮やかに治したい。それこそが、僕のやりたいことなんです。』というフレーズで「文字講座」終了。私のそれまでの感動は、サスペンデッド、宙ぶらりんに。処方箋たるデザインには『自分の好みが介在する余地はまったくなくて』とも言われてしまって、衝撃。高まりつつあった感慨の落としどころやいずこ!?

……おろおろし始める直前、何だか雲行き変わったなと感じたあたりで佐藤可士和が出してきたのは「コミュニケーション」という言葉だ。表明でも吐露でも誇示でもなくて、伝達。消費者への伝達を課題に持つ顧客相手の仕事、二重のコミュニケーションの彼の“現場”をかいま見せてくれただけで、おろおろすることはないのね。好みの介在の程度や仕様に相当な幅がありこそすれ、コミュニケーションの世界に従事しているのはほかの12人も同じ。芸術と実用のコミュニケーションツールを創造する職人、すごいです。
と、最後の最後でサスペンスを味わったものの、落ち着いてみれば中断された感動がじんわり甦る。一度急速冷却されたから、なおのこと感じる温かさ。文字への原初的とも言える情熱には心を動かされる。そして、全編を貫く先人への畏敬がとても篤い。こちらはそれに共感すると同時に、今、道を切り拓いている各人への尊敬の念もわき起こる。文字の力は普遍なり。

講師の中では佐藤可士和の名前しか知りません。そんな部外者の私は、テレビ局に見学に来た小学生のようにどこを読んでもわくわく。その中で、仕事をしている身として非常に合点がいき、励まされたのが以下の記述。
『あらゆる分野の仕事に言えることですが、「最良のものはなにか」ということを探求する姿勢は、やはり必要だと思います。ここでいう「最良」とは、必ずしも客観的に合理的に評価可能なものではなく、主観的な、あるいは審美的な意味での「最良」と解釈しても構わないでしょう。』
言葉の主は山本太郎。もちろんウルルンな彼ではなくて、アドビシステムズで日本語フォントの開発をされている方だそうです。
仕事の関係でよく耳にする「一番ベター」という言い方、日本語として今まで苦笑の底に許せなさをたぎらせて聞いていたけれど、これを読んで許せるようになった。「最高」はともかく、そのときにできる一番最良を目指す、それは初歩的ながら決して失ってはならない心構え。そして、個人的には『審美的』の中に「裁量的」も含ませてください。

手書き文字でのデザインを多く手がけているという服部一成が、それとは最もかけ離れた表現をとコンピューターソフトで描いた線を使ったデザインと、次に手にした本に載っていたアレグザンダーのセミラチス構造、一見似ている。『偶然性、一回性』を求めて『即興的』、無機的に描いたものが、漸次的、経時的に形成された有機的構造に似ているのは面白い。
セミラチス構造は、下のURLで出てくる最初の図参照
http://nam-students.blogspot.com/2008/01/blog-post.html

言葉の特性の一つが恣意性。読んでいるとそこに首突っ込んでるような感じに見舞われる。水がなぜ「mizu」なのか、そこに意味を見出そう、あるいは与えようとしているようで、くらくら。「原初的」という表現を使ったのはその感覚に由来しているのでしょう。そういうトライアルに現在用いられている最新技術の一端も紹介され、時間軸を往復しているようなちょっと不思議な気分になったりもした。

不思議といえば、「個人的ポイントは最初と最後」と書いたその最初なのだが。
表紙の「文字講座」の縦書きレイアウト、「文」「字」の下のアキと「講」のそれが違う(記事のタイトルで再現にチャレ〜ンジ)。編者としての「文字講座編集委員会」の表記においても同様。背表紙もトビラもそう。最初は気付かなかった。でも、奥付で均等割付状態になっているのを見てしまうと、均等でない配置が気になる。意味を持たせてのことなのだろうが、そうであってくれなくては困るのだが、私には均等でない必然性がわからない。どういう意味があるのか知りたい。奥付も同じだったら気付きもしなかったのにね。奥付ではそういうことしないか。
何か意味があってデザインなのだろうから、それを美しいと感じられない、しかも最初気付かなくて後から違和感を感じ出した始末の私には、「自分を疑う態度は常に持ってろ!」というメッセージにもなっている「文字講座」なのだった。

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