テーマ:読書

松田行正著「図地反転」-“「マツダ」を詮索する”を詮索して139ページを詮索する

松田行正著「図地反転」(㈱美術出版社)の「こだわる」の章、“「マツダ」を詮索する”の項で、自動車のマツダではなく、東芝の前身、東京電気による「マツダ」という電球があったことを初めて知った。 そのマツダランプ、139ページ下の図版に再登場。昭和18年(1943年)3月10日、朝日新聞掲載の広告だが、3月10日は旧陸軍の記念日のためす…
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毀誉褒貶

「毀誉褒貶」は、「ある全集を読む」の掉尾としての③に使いたいと思っていたタイトル。 ある全集、つまり木々高太郎全集の最終巻の月報のそれこそ掉尾、全集完結の謝辞に『たえず毀誉褒貶の渦中にあった木々高太郎(林髞)という存在は』とあったのには少なからず驚かされた。全集完結に当たり『たえず毀誉褒貶の渦中にあった』と述べられる存在はそうはい…
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日影丈吉「ねじれた輪」-ある全集を読む②

『推理小説のにおいのない普通の小説で、推理小説が書きたいというのが氏の念願だが、それを達成した稀有の作家の一人といえよう。』という「日影丈吉傑作選Ⅰ」(社会思想社現代教養文庫)の中島河太郎のあとがきの最後の一文にある作家を思い起こし、「傑作選Ⅱ」収録の「ねじれた輪」でその作家の作品をもっと読みたいとの思いが無性に募った。それが木々高太郎…
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「青髭が若しその七人の妻の死骸を」-ある全集を読む①

以下は、「青髭が若しその七人の妻の死骸を」と題する詩の全文引用です。 青髭が若しその七人の妻の死骸を、 七重の櫃(ひつ)、螺鈿(らでん)の扉に封じていたのであったなら、 彼はフェミニスト、そして、ロマンチストでもあったのだ。 若しまた塩ふりかけて喰いつくし、 骨だけ残して置いたのであったなら、 彼はヴァムピール、そして、…
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「文  字  講 座」

東洋美術学校創立60周年記念事業として2006年度に開催された「文字講座」の採録である「文字講座」(誠文堂新光社)の個人的ポイントは、最初と最後。 講師はタイポグラフィやデサインの分野で活躍の13人で、トリは佐藤可士和。 それまでの12人の文字に対する思い入れやクリエイターとしての情熱に素直に感動し、彼の小学生から文字をつくって…
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泡坂妻夫死去

2月3日、泡坂妻夫が死去。 驚きました。急性大動脈解離では家族がすんでのところで助けてもらったことがあるので、なおのこと残念です。 と、まるで古くからの愛読者のようだけど、私はほんの数編の読者。まさしく、文春文庫「マイ・ベスト・ミステリーⅥ」で加納朋子がエッセイに書いている『幸せな状況』にあります。これからその幸せを存分に味わい…
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JULIO VELASCO-「ジュリオの当惑(とまどい)」-「夢みるサイコ」

前記事のJULIO VELASCO、アルファベットで書くのには理由がある。 初めてTVで見たときからアナウンサーの発音も活字の表記も10年来ずっと「ジュリオ・ベラスコ」だったのに、ある日、フリオ・イグレシアスの「フリオ」だと友人がからかう。私と友人の間ではフリオ・イグレシアスはそういう存在。ファンの方ごめんなさい。でもそうなのだ、…
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泡坂妻夫著「家紋の話」「卍の魔力、巴の呪力」

ともに新潮選書の「家紋の話-上絵師が語る紋章の美」「卍の魔力、巴の呪力-家紋おもしろ語り」は、泡坂妻夫の職人としての意気と先人への敬愛が心地いい2冊。著者の小説にも通じる『機微と計算に裏打ちされた奇想天外・大胆不敵の世界』はかなり楽しい。 読んでいる最中、ラジオで「紀伊国屋文左衛門」という浪曲の演目を耳にした。はたと思い当たったの…
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文春文庫「マイ・ベスト・ミステリー」Ⅳ・Ⅴ

ミステリーの第一人者たちが「最も好きな自分の作品」と「最も好きな他人の作品」を選び、それらにまつわるエッセイも書いている、非常に興味深い日本推理作家協会編のアンソロジー。 ⅣとⅤで計3人が木々高太郎の作品を選んでいる。そのうち1作は感激の初読作品。加えてうれしいのは、エッセイで彼についての言葉が読めたことだ。 Ⅴ収録の北村薫のエ…
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「青色鞏膜」

仕事で調べものをしていたら“青色強膜(せいしょくきょうまく)”の文字が目に入る。 白目の部分を強膜といい、遺伝によりそこが青味を帯びているのが青色強膜。木々高太郎の短編「青色鞏膜」によりずっと“鞏膜”と思っていた自分には、コワモテの「強」よりも、「恐」を想起させる「鞏」の方が悲しく恐ろしい愛情物語である「青色鞏膜」にはふさわしく思える…
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「リコッタチーズを食べる人々」

「食べる西洋美術史」(宮下規久朗著・光文社新書)を即読む気になったのは、口絵でヴィンチェンツォ・カンピの「リコッタチーズを食べる人々」という絵を目にしたから。(以下、『』内は同書より引用) マスカルポーネについても同じシチュエーションで全く同じことを思ったが、お菓子の材料として買ってきて、そのままではどういう味なのか食べてみようと…
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南条先生は瞳を逸らさない

ミステリチャンネルでオンエアしたTVシリーズ「女子高校生殺人事件」の原作、小峰元の「アルキメデスは手を汚さない」を読んだ。 以降、どちらの内容についても触れていることをお断りしておきます。 3月2日の記事に書いたように、昔々その辛気くささにシリーズを途中放棄し、今回もその感覚に変わりはなかった私には、全7回の「7」はすごく大きい…
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「世界の終り」で「炎のうた」を聴く

「でもわたしは知らない 自分が熱いのか冷たいのかを」 「いいえ私は怖いということがよく分からない。」 前者は、先日初めて知った大岡信の詩「炎のうた」の一部。後者は、福永武彦「世界の終り」中の、その昔私を凍りつかせたヒロイン・黒住多美のモノローグの一部。 地元の文学館開催の書評を書くというゼミナールで「忘却の河」が取り上げられて…
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“「はじまりの物語」をめぐる物語”

松田行正著「はじまりの物語」(紀伊国屋書店)、このたびの読書体験は、自由で豊潤な著者言うところの「夢想」にこちらの偶然が加わってかなりビビッドなものになった。 以下は「はじまりの物語」をめぐる物語。 デューラーが2度登場。 デューラーには「主任警部モース」18話で接したばかりだった。横内正の声が余りにぴったりなので、今オンエア…
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「著者に聞きたい 本のツボ」

NHKラジオ第1「土曜あさいちばん」、野口博康キャスターの“元気よさ加減”は、土曜の早朝という時間帯の自分にとても合っている。 元気よくないよりいいにこしたことはないのだけれど、元気よすぎないというのは意外に大きい要素なんじゃないか。彼のその加減は、自分にちょうどいいようだ。そして、語りが元気いいというだけでなく、神経の元気よさと…
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『「怖い絵」の四段階』

「怖い絵」(中野京子著、朝日出版社)を読む。 「どんだけ~」ならぬ「これだけ~」と、著者の怖さの“解き明かし”が予想外に短く終わることに驚愕の第一段階。 20もの作品について、その考察と歴史的・文化的背景や作者の解説をしてくれているんだもの、“解き明かし”は短くて当たり前、オチ・サゲ的扱いと思えばいいんだと了解の第二段階。 項…
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アガサ・クリスティ「崖っぷち」

8月28日の記事の阪神・能見の「崖っぷち」発言への愕然は、“そこまで言わなくていいよ…”の思いとともにもう一つ理由がある。その2日前、「崖っぷち」というタイトルのクリスティの短編を読んだばかりだったのだ。 イメージも音もシリアスな「崖」にそれをナンセンス化するような促音&半濁音が続くその響きは残酷な滑稽を漂わせて、便利な表現ではあ…
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金川欣二著「脳がほぐれる言語学」-「能見良かったですね」で考える

前記事への「能見良かったですね」というコメントに返事を書いていて手が止まった。 はなから投球内容を良かったと言ってもらえたとばかり思っていたけれど、“復活できてよかったね”“久々の勝ち星おめでとう”という意味だったのかもしれない。だったら何だかズレた返事になってしまうので、「ああいうピッチングできるんだから」と添えることで“わたし…
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「ハムレット役者 芥川比呂志エッセイ選」

芥川比呂志が名エッセイストであったとは全く知らなかった。 阪神ファンじゃなかったら、その存在に気をとめることもなかったかもしれない。 昔々、彼が“自分とよく似た人間がいるものだ”のように小山正明について言ったというエピソードを読んだとき、也寸志の面長の二枚目ぶりはまさしく父親を彷彿させるものだけれども、小山正明の四角くて鼻(の穴…
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「驕らぬ心」 「謙虚な司祭」

本棚を整理していて久しぶりに手にした「石の幻影」(大久保憲子訳)。河出書房新社のディーノ・ブッツァーティの短編集だが、収録は厳選の6編。目次に「謙虚な司祭」のタイトルが。 ブッツァーティは怖い。彼の不条理は条理ある不条理だから。彼の描く不安は自分の日常に実際存在するものだから。そして、そのリアルさゆえに目をそらすことができない。 …
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山際淳司編著「プロ野球グラフティ 阪神タイガース」

本棚を整理していたら出てきた新潮文庫の「プロ野球グラフティ 阪神タイガース」。存在をすっかり忘れていた、仰天の一冊。 「猛虎奮戦譜」という章に「思い出しとくんなはれ!」と冠がついているように、そしてその章の最後の項、対巨人1000試合目に完敗したことについて「それは現在のタイガースの象徴的な姿ともいえる」とあるように、長い長い雌伏…
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「イタリア12小都市物語」

コッレッジョのサン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂の天井画は、「キリストの昇天」ではなく「聖ヨハネの彼岸への旅立ち」とのこと。小川煕著「イタリア12小都市物語」(里文出版)で知りました。結構衝撃です。 かぎ括弧内の引用はすべて同書から。 「昇天を待つヨハネを迎えるためにキリストが天上から下降してくるという場面」で、「キ…
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読んでから見るべし!

「アヒルと鴨のコインロッカー」の公開が迫っている。 「読んでから見るか、見てから読むか」は角川書店によるメディアミックスの懐かしきうたい文句だけど、今は断言できる、読んでから見ろと。 可視化不可能とうたわれた「ハサミ男」の映画化を見たのは年末のこと。この作品を一体どのように映像化するというのか、疑問符の方が先に立ってお金を払…
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福永武彦「世界の終り」

ことしもあとわずか。変化したのがそのことしと明らか断言できるのが「世界の終り」に対する自分のスタンスだ。 些細といえば余りに些細だけれども、作品上の設定と自分の実際の状況という動かしようのない客観的な一致と、主人公の性格のある部分やクライマックスでの彼女の“わななき”の一部という極めて感覚的な部分でのぞっとするような相似に動揺をも…
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小学館少年少女世界の名作フランス編-5「ルコック探偵尾行命令」 

久しぶりに開いた横溝正史の短篇の中に「ルコック探偵」という文字が。 10月20日の記事に絡んで、「“たんてい物”ではほかに「ルコック探偵尾行命令」があったな」とちょうど思い出していたばかり。“意味のある偶然の一致”。 エミール・ガボリオのこの作品、「ゆうれい塔」に引き続き引っ張り出してきてみたら、これまたやたらおもしろい。どうや…
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小学館少年少女世界の名作日本編-4「ゆうれい塔」 

世界の名作を子供向けにアレンジして提供というのは、それだけで読んだ気になってもともとの作品をきちんと読まないでしまうという大きな危険性をはらんでいる。それでも、小さいときに名作に接することは貴重な原体験としてありがたいものであることには間違いない。 タイトルの全集は小学校全学年が対象だ。そこで接して以来、「白鯨」や「ああ無情」なんかち…
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シャーリイ・ジャクスン「塩の柱」「歯」

早川書房の異色作家短篇集の「くじ」。 例の「蝿男の恐怖」には原作本があったのか、これは読まなくちゃ!という「蝿」の隣にあり、ついでにと手にとった。著者についても作品についても知識・情報は皆無。 読み始めてとんでもない世界に出会ってしまったのかもしれないという思いにとらわれる。 訳者の解説がなければ、エピローグ、原題の意味す…
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横溝正史「靨」

新スタートレックのオリジナル小説を読んでそれなりに楽しめたことに自分でびっくりしたことがある。「オリジナルとはいえノベライズみたいなものなんだから、どーせ…」と全く期待してなかったことを差っ引いても、やっぱおもしろいと思えた。 それは、TVでお馴染みの面々の内面がキャラごとに結構巧みに描かれていたからだと思う。文字として示される心の声…
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ニッセンカタログで“真珠郎”発見?!

「真珠郎はどこにいる。」 出だしの一行からして読む者を魅了せずにはおかない「真珠郎」。その戦慄の美しさ、夢幻の禍々しさを描写する筆致は尋常ならざる境地を感ずるほど。横溝正史が最も愛したキャラクターといえるのではないか。 ということで、古谷一行のTVシリーズで「真珠郎」があるとわかったときは、一体だれが演ずるのだろうと興味津々だっ…
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