安部潮はどこへ行った

「狸はどこへ行った」は、有明夏夫の「大浪花諸人往来」、つまり桂枝雀の「なにわの源蔵事件帳」の原作の一編。

NHKの水曜8時の時代劇で「早筆右三郎」に次いで印象深い「なにわの…」は、藤山直美と小林稔侍のブレイクのきっかけともなったなったドラマ。往年の二枚目・吉田輝雄に加藤武、司葉子がわきを彩る。
それに加えて何だか好きだったのは松原千明&草川祐馬。病気療養を経てお久しぶりの草川祐馬の関西弁はめちゃくちゃ新鮮だった。もっとも、彼は大阪出身なのね、後から知ったんだけど。これまた関西弁が新鮮だった、カネボウレディ80のリーダー格・松原千明とのツーショットは、何ともものんびり大らかなになれる、実にいい感じのものだった。

そんな出演者の中、実は最も作品の空気を盛り上げていたのは“イラチの安”の安部潮だろう。真弓明信を三枚目にしたようなインパクト大の一度見たら忘れられない顔と、源蔵のところに飛び込んでくるときの、銭形平次の八五郎を軽く上回るだろう(よくわかんないけど)威勢のよさは、このドラマで欠いてはならない存在。彼あっての「なにわの…」だ。
なんていい味出せる役者なんだろうと、名前をきっちりインプットしつつ、ほかの場面での活躍を見られることを楽しみにしていたんだけど、その後、唯一彼を見たのは必殺シリーズでの始末される側のちょい役として。しかも、白塗りで女物の着物をはおっちゃったりしてた。少なからずショックだった。

イラチの安としてあんだけ見るものを引きつけた安部潮だもの、どこかで活躍してなくちゃもったいないとずうっと思っていて……、何かの舞台のポスターでその名前を見つけたのは五、六年前のことか。今ネットで検索しても、どうやら舞台出演が主のよう。生・安部潮、さぞかしイキがいいだろうなぁ。
この先、彼にお目にかかることがあるかどうかわからないけど、ラッキーちゃん、“イラチの安”の安部潮は絶対に忘れないよ!

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