犬神奉公会の人登場せず!-リメイク版「犬神家の一族」

個人的に超気になる犬神奉公会の人。オリジナルでは“まるでタモリ”の北島和男。今回はどんな人かな~と楽しみにしていたら、抹殺されていました。残念!

犬神家のふすま、もはや倒れませんでした。那須ホテルの主人や柏屋の主人夫妻の配役みたいなお遊びはあっても、今回はあのお遊びはなしなんですね。残念!

うどんを前にしてのはるちゃん報告のシーン。瞬間、汁のはねを気にするそぶりが出ちゃったのは興ざめ。
それ以上にとほほだったのは、うどんのよれ。あれは、茹でてからそれなりに時間がたっているものか、はたまたスーパーで納豆やこんにゃくと並んで市販されている加熱済みうどんのよれ方まんまだ。改めてじっくり煮れば解消されるんだけど、撮影前に十分再加熱の余裕はなかったか、あるいはOKまでに時間がかかったか。いずれにしても個人的にはチープさ、わびしさを禁じ得ないよれ方。残念!
そして、このたびはそれぞれの女優にメイク担当がいたわけだが、深キョンのメイク、もうちょっと時代設定を考慮してくれてもよかったんじゃない?特に眉毛だ。「バブルへGO!!」じゃないが、眉の形はまさに時代を物語る。スタッフのだれか注文つけられなかったかしら。

オリジナルの猿蔵の醸し出していた“知能的な差異”は、今回ほとんどなし。そのせいかどうか、珠世への忠誠の盲目性は薄れ、その分彼の存在感自体も薄くなったみたい。残念!

おもしろかったのは竹子の夫のオリジナルとの相違。これは岸辺一徳の存在あってこその描き方なんでしょう。片や、それなりのメジャーどころ、監督の古いおなじみを持ってきたのはいいんだけど……というのは等々力署長の部下役。老境に片足だか両足突っ込んだ署長と組み合わせるには、30年前の辻萬長のような外見も中身もいかにも堅そうで青臭い輩こそ対照の妙が味わえるんじゃないか。尾藤イサオも実年齢からは信じられない若々しさだけど、もっと若い俳優でだめなこともなかったんじゃないかとちょいと残念。

富司純子の松子、“彼女がこの役をやるとこうなのか”というのを十分味わわせていただきました。個人的にはちょっと線が細いかなと、演技の上でも、ぶっちゃけ体格的にも。あと5年後の松坂慶子の松子なんか見てみたかったななんて思った次第です。
そして、リフレインされる松子の叫びは後半の一つのヤマなのだが、このたびのそれは「佐清に会わせてくださぁい」なんだ。「くださぁい」って、“ぁ”は余計でしょう、要らないでしょう。言った役者が云々じゃなく、これで監督がOKを出したことにクエスチョンマークが躍る。

そして、風来坊、風のような存在として耕助を受けとめてきた者としてラストのせりふは……。耕助が何からも自由な存在であるということには垂直も水平もないんだけど、胸の奥底に故郷を抱き、彼は彼なりの“地への足のつき方”をしている-だからこそ人の機微を解し、謎を解きほぐせる-という耕助像にいわばノマドのような自由さをイメージしていた自分には「天から…」というせりふは思いがけないもので、「こんなはっきり言葉にしちゃっていいの?」という“あっけにとられ感”のままエンディングへ。

何にしても行き着くのは「昔はよかった」、そしてクエスチョンマークになってしまうけれど……、30年前の「犬神家の一族」のスタッフが、役者が、そしてトータルの作品としていかに素晴らしかったか改めて思い知らせてくれたことに感謝。

この記事へのコメント

FLAT4
2007年01月21日 19:22
ぐれたさん、こんばんは。
いやぁ、麺のよれ具合までは気が付きませんでした! 納豆やこんにゃくと並んでいる・・・・・・腹がよじれます(笑涙)
確かにあの怪しげな犬神奉公会代表がいませんでしたねぇ。あの人、私には緒形拳にしか見えないのですが、非常に効果的な人物だっただけに、お目にかかれなくて私も残念です。
それと「天から~」のセリフや、猿蔵の「知能的な差異」など、なるほどそうだなぁと思います。
それにしても色んな意味でツッコミ甲斐のある、大いに楽しめる娯楽作品ですね。
2007年01月21日 20:33
こんばんは~♪
FLAT4さんには緒形拳なんですね。そうインプットされた上でどんなふうに見えるか、確かめたくてしょうがなくなってしまいました。
あの時代で佐智のあのふっくらぐあいっていいんだろうかとか些細なところにつっこんでしまうのは、オリジナルへの愛着のなせるわざでしょうか……。
お昼寝
2015年11月08日 15:01
私も、
1976年版の犬神奉公会の方が
緒方拳にしか見えません。

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