合掌 宮部昭夫・川合伸旺

訃報に接してそれまでの存命を知るというのは実はよくあるパターンで、宮部昭夫の場合もそう。しかも、私が彼の活躍を知っているのはある一作品のみと言ってよく、それも洋画の吹き替えということで、記事での俳優という紹介で初めて映画等への出演を知る。
でも、その一作品での印象深さ、名吹き替えぶりといったら、もうそれだけでも十分というもの。「タワーリング・インフェルノ」のスティーブ・マックイーンだ。オハラハンが全編通して見せつける“どんなに頼ってもいいのね”という頼もしさと責任感を見事に増幅させていたあの声。余りにも制服にマッチする硬質な響きなので、ウエスタンものでのマックイーンに合うのか合わないのか耳にしたことがない私はちょっと不安だったりもするのだが、訃報から二、三日してから届いた映像ソフトのDMで、「拳銃無宿」から「荒野の七人」からマックイーンといえば彼で決まり!!みたいなことを書いてある。ああ、カウボーイ姿のマックイーンにもばっちりなんだと何だか胸がいっぱいになってしまった。それくらい「タワー…」での、何ていうんだろう、肩章みたいなのがついている制服のワイシャツ姿のかっこよさ、冷静と勇敢をあわせ持つオハラハンのありよう、底辺に誠実さが漂う宮部昭夫の独特の声は、3点セットで心に深く深く残っているのである。
    
そのときのポール・ニューマンの声がたしか川合伸旺だったと思う。見終わった後、テロップで見た声担当の「川合伸旺」と時代劇でおなじみの悪代官が結び付いたときはびっくりしたもんだ。
最後に見た再放送とLDでの再会の間に長い長い月日が存在した「仮面の忍者赤影」。そのインターバルの間に、天津 敏が威風堂々かつ妖艶に描いた甲賀幻妖斉は川合伸旺が演じていたものとすっかり思い込んでしまうほど彼の悪役ぶりは魅力的だった、憎たらしい中にどこか色気があって。その声の渋さと甘さは確かにP・ニューマンに通じるもの。

オハラハンとダグを演じた2人が相前後して逝くなんて。宮部マックイーン&川合ニューマンの「タワー…」、また見られたら嬉しい限りです。

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