200年(?)分のごめんなさい

初めてイタリアを訪れたのは超激安ツアーだった。けど、値段と中身を天秤にかければなかなか悪くないものでした、食事を除いて。そう、組み込まれた“最下級”リストランテよりも、高速道路の休憩時間の日本でいうサービスエリアみたいなところや、自由時間に入ったバールでの軽食、ドルチェの方がホントにおいしかった。それでも、団体ツアーの特典はめぼしい美術館等に優先的に入場できることだろう。それは間違いないことだと思う。

“その時”の直前まで、フラッシュ禁止の場でそれをたいてしまう輩(その様子を見ていてもまず故意の人はいないのだが。みんな「ありゃー、しまった」という顔をしていた)に遭遇するたびに「おいおい、何やってんだよ」と思っていた私だったが、それがやってしまったんだ。当時はデジカメのデの字も世の中に登場していない頃で、私といえばカメラなんざにゃ興味もなく、いわゆる「ばかちょんカメラ」に頼っていた。そうなんだ、自動フラッシュモードになっていることをすっかり失念していた。そして、よりにもよってミケランジェロのロンダリーニのピエタに対して……。さすがにこれは写しておきたいという存在だった、写真とかビデオという“記憶装置”に頓着しない私ですら。美術に特に明るくない者が見ても迫るものがある存在だった。あぁ、そして自動フラッシュのままで私はシャッターをきってしまいました。次の瞬間の私の顔は、それまで自分が「あ~あ、気をつけなよ」と思っていた人たちの誰よりも、間抜けな、“しまった!!”というどうしようもない情けないものだったろう。言われたのがその前か後かも覚えていないし、その数字も正確に記憶してはいないのだが、1回のフラッシュで200年分のダメージを受けると私の頭にはインプットされている。……200年は長いだろう、20年じゃないかな、と思いたくなるおのれの心境もわかるが、何はともあれまさに私の注意不足。本当に世界じゅうの人々に謝りたい、自分のあの一押しで世界的・歴史的な美術作品の寿命を縮めてしまったのは紛れもないことだから。本当にごめんなさい。皮肉なことに同ツアーのどの写真よりも鮮やかに写されているそのピエタの写真を見るたびに心が痛む。皆さんもどうか気をつけてくださいね。

余談だけど、ピサの斜塔をちゃんと斜めの塔として写そうってのも素人には結構難しい。よっぽど地面あるいはその他との対比をフレームにきちんとおさめないと、ただの塔、フツーに立ってる塔の写真にしかならない。ガイドブックに載っているような代物は素人にゃなかなか…ってことです。

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