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zoom RSS 「暁の追跡」

<<   作成日時 : 2007/06/24 00:27   >>

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監督市川崑、脚本新藤兼人による1950年公開作品。
「警官・石川の苦悩と闘い」と書くとまるで青春映画だが、その要素も含め、恋愛模様も含めのハードボイルド・・・そんな能書きは不要のとにかく見るべしの一作。

石川が硬なら軟は檜。
石川は幾度となく「失敬」と言って立ち去る。今や完全に死語の「失敬」が、礼を失することを詫びる気持ちから親しみまで含み得る、ゆかしくて懐深い言葉であることがよくわかる。懐が深いことは同じでも「遺憾」の持つ曖昧さは好きになれないが。
そして、その使い方の一つの究極が檜に向けて示される。軽蔑だ。失望、憤慨から軽蔑へと進行していく心情が「失敬」の一言に込められる。込めてみせた池部良の見事もさることながら、檜を憎めないキャラに仕立てている物すごく若い伊藤雄之助、相変わらずいい味出している。一見の価値あり。

檜とは異なるベクトルでの対照として描かれるのが山口。石川の情に対して理か意か、彼なりの信念は余りにも徹底していてかえってすがすがしい。
見たことあるけど誰だろうと気になって途中でチェックしたら……水島道太郎!!「悪名一番勝負」で見たばかりだったのでびっくり。作品中最もワルい奴を実に魅力的に演じていて目が離せなかった。あの憎たらしさの直後に山口役を見ることになるとは感慨ひとしお。

クライマックスの“暁の追跡”は、モノクロならではの美しさと緊張感が素晴らしい。この映像を撮りたくてこれをつくったんじゃないかと思ってしまうほどだ。

温暖化で異常に暑い現在だが、当時は当時でさぞじっとり暑かったんだろうという人々のさまと石川の理想論、すべての気力も失わせる貧しさは、ひたすら暑苦しくてひたすらどうしようもない。
が、どこまでも情の人・石川を持ってこなかったラストがいい。直線だけで大きく区切られた遠景の乾燥と非情に寒気がした。納豆売りの少年が売り声を中断させて追いかける警察のジープが残す砂けむりは、まるで寒風に吹き上げられたようだ。石川はこれから社会の冷酷とどう向き合うというのだろうか。

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