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zoom RSS 「テニスコートの謎」

<<   作成日時 : 2005/12/29 21:02   >>

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もちろん未読の方は読まれないように。

横溝正史がディクスン・カーをいたく評価していたということは、かなり前から知っていることではあった、「夜歩く」というタイトルをそのまま使っちゃうぐらいに。カーの作品は、そのことを知るさらにもっと前に短編集を読んでいただけだったのだが、短編からだけでもその本格ぶりと漂う怪奇趣味は十分味わえ、横溝正史が傾倒していたと知って、さもありなんと思ったものだ。
それからまたしばらく後に、ある一作品について特に彼が絶賛した文章を読む。そこでは彼は“原題”で表記していた。横溝をしてこんなに感嘆せしめる作品は一体どんなものなんだろうと興味津々となり、手持ちの創元推理文庫でカーの作品一覧を見てみたが、それらしき日本語の題名は見つからなかった。書店でその他の文庫等を物色しても出会えず、いつしか忘却の彼方にといったところだったのだが、先日久しぶりに大型書店をうろつく時間ができた折、例の作品について思い出し探してみたところ、“これじゃないか?!”という作品を創元推理文庫で発見。「テニスコートの謎」である。

そのトリックの本格さはもちろんだが、ヒロインを取り巻く人間関係のどろどろぶりと、直接に殺人に関する以外の部分での複雑さは横溝に一脈通ずる。私なんかが角川映画の洗礼を受けると同時にさらされたおどろおどろしさと、ホームズものにルパン、そしてポワロ&ミス・マープルを入門編とする“毛唐”ものとは即座に結びつくことはなかったが、人間関係及びそれにまつわる心理のどろどろは万国共通のようだ。この作品における犯人の人間像なんて、かなり“きてる”ぞ。細かくは書かないが、「犬神家…」「女王蜂」「真珠郎」等の作品の萌芽をまざまざと感じることができる。

横溝が賞賛した作品を自分も堪能できてよかった、また、作品そのものとして面白かったという読後の満足感にまだひたっている中、何気なく文庫で原題を確かめると、何と過去読んだ文章中で横溝が示した題名と違うじゃないか!あれぇぇーっ!!が、この文庫の邦題を英訳したら大体横溝が記した英語になるだろう。さらに言うなら、この邦題の方が原題よりうまいんじゃないかと……、いや、そこまで言える立場じゃないことは重々承知しております。という次第で、横溝が挙げた作品はまずこれであると思います。それだけの内容だもの。

そして、創元推理文庫版の訳者の厚木淳氏は各章のタイトルをすべて漢字二文字の熟語に統一してくれ、実に爽快だ。
そして、もう一つ氏の見事な仕事ぶりについて跡付けたいと思わずにいられないのは、出番はわずかだがなかなか愛すべきらしい、ヒロインの相手役の父親の最後の最後の駄洒落についてだ。「禍を転じて福となす」を(入浴の支度ができたとの知らせを受けて)「…風呂となす」とのたまっているのだが、日本語として実に見事なこの駄洒落、原語ではどのようなものなんだろう?余りにも日本語のそれとしてうまくて、外国語を訳したものであることを忘れそうだ。カーは一体どんなふうな駄洒落をこの名作の最後に持ってきたのか、新たな興味にかられているという次第。原文をご存知の方、お教えいただいたら幸いです。

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