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zoom RSS 「金田一耕助の冒険」

<<   作成日時 : 2005/07/31 21:11   >>

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もちろん“異色作”との形容詞が付されるその存在は知っていたし、耕助に扮する三船敏郎に薄い髪の毛をかきむしらせるシーンや「とってもデリッシュ」やアデランスのCMをパロったシーンなどの紹介は結構な回数見て、“もういいか”ってな感じでまともに見ていなかった。先日初めて全編見たわけなのだが……。
スタート間もなくして、自分はこの先1時間半近くこの作品を見るために時間を費やしていいのかどうか非常に疑問に思った。スイッチ消して別なことをしてもいいんじゃないかと思ったのを見続けたのは、「映画は見てみなければ始まらない」というまだ自分が若くて物理的にも体力的にも余裕があった(もちろん当時は余裕があるなんていう自覚なぞ持っているわけもなかったが)ころのポジティブなポリシーを貫いたわけでなはい。一つは次の日が休日だったので夜更かしできたこと、そしてもう一つは、開巻数分でこれだけ違和感と“あぁ、これこれ”というどこかなじんでいる感触という全く相反する感覚をもたらしたのなら、残る時間では一体いかなる展開が繰り広げられ、そして私にどんな感想を味わわせるんだろうという自虐的な好奇心からだ。

これは、製作が世間の耳目を集めたコンテンツを他にたっぷりと保持していた角川春樹だったこと、扱うそのものが横溝正史の金田一耕助ものという実に“いじりやすい”作品世界だったこと、そして、監督が、多くのヒットCMを生み出し、これまでの活動から実に豊富な人脈を持ち、かつそのユーモア感覚が極めて極めて独特のものである大林宣彦だったという、恐ろしい、はたまた忌まわしい偶然が重なってこの世に産み落とされた作品だ。
「時をかける少女」を筆頭とする新旧尾道三部作等で代表される監督描くところの独特のノスタルジーは、少年少女の琴線を揺すぶって余りある。記憶に残っているのはほんの断片にしかすぎないのだが、NHKの「少年ドラマシリーズ」での「時を…」が余りにも印象深く心に残っていた私は、しばらくの間、大林版を封印していた。あの名作をぽっと出のつくられたアイドル主演でやられてたまるもんかってね。しかし、ロードショーから数年後に封印を解いたとき、氏の「時…」は全く異なる種類の感動をもたらしてくれた。それまでの日本人形然たるおかっぱから全然雰囲気の違うショートカットに原田知世のヘアスタイルを変えることを決めた存在こそが一番の功績者だと私は思っているが、あのイメチェンはすばらしかった、それがあってこその「時かけ」だと思う。そして松任谷正隆の音楽と松任谷由美の主題歌と監督の感性。「ジョアンナ」を踏襲したエンディングもすばらしい。E・スコラの「マカロニ」とは別のツボで私の涙腺を開きっぱなしにする作品だ。が、監督のユーモア感覚については、以前からどう評価していいかわからないというか、それを前にすると「あたしはしーらない」と逃げ出したくなる、困っちゃうんだ。心情としてけなすのもつらいから“判断中止”をせざるを得ない……。

ここでは、監督の交流の広さもあり出演者のメンツの幅がものすごい。お懐かしの宇佐美恵子。「何でこげな作品に」の東千代之介。山本麟一は彼の出演作中これが最も重要な役なんじゃないか。「熱中時代」の原田 潤クンの歌声を聞けたのには驚いた。「黒猫亭事件」の太地喜和子を見事に再現した赤座美代子のなりきりぶりは一見の価値アリ。まるで田中麗奈ちゃんのわか〜い熊谷美由紀が見ものであることも間違いない。そして、パロっている作品は一体どれぐらいあるんだろうか。それまでの横溝作品及び角川作品、そして大林作品については当然としても、「チャイナタウン」「雨に唄えば」なんていう洋画や「太陽にほえろ」等のTVドラマもいじっていたのか。パロディというのは元ネタを知らなくちゃパロディにもならない。私の知らないお遊びがまだまだてんこ盛りになっているんだろう。
……って、正直何を描きたいのかさっぱりわからない一本。どう受け止めていいのかわからないんだ。そうさなぁ、フルスロットル状態の大林ワールドにただただ身を委ねつつ、名探偵が登場しながらも死に彩られてしまう横溝正史の世界の水面下に横たわる、物語上のそれとはまた違う情念に思いを馳せる、というのが無難な味わい方なのであろうか。

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